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いといがわ\暮らしの防災術/vol.3レポート

更新日:2026年3月24日更新 印刷ページ表示

いといがわ\暮らしの防災術/第3回目が1月24日に開催されました!

しんしんと雪が降り積もり、視界がかすむ冬の日に「糸魚川\暮らしの防災術/」が開催されました。
今回のテーマは、防災の「食」です。
糸魚川で暮らす私たちにとって、寒さや雪と向き合う日常は当たり前ですが、その延長線上に防災があることを改めて実感する機会となりました。
参加者11名は、テーマが食ということで、女性の割合も半数となりました。
ほかにも防災についてこれから考えていきたい人や、アウトドアを始めたい人などさまざまな理由で講座を受講していました。

講師は、前回に引き続きアウトドア防災の専門家である寒川ご夫妻です。
今回の講座では、防災クッキング専門家の寒川せつこさんが中心となって講座が行われました。暮らしの中に自然に取り入れられる、防災の「食」にまつわる知恵をご紹介くださいました。

講座の冒頭では「地域性」についてのお話がありました。
普段は鎌倉に住んでいる寒川さんは、「鎌倉では雪が降らないので雪かきをしません」と話されました。雪の多い地域では雪かきの技術が自然と身につきますが、鎌倉ではその必要がほとんどありません。
雪景色の第3回
雪かきの知恵は雪が降る地域にこそあります。環境が違えば、身につく技術も違います。つまり、防災も全国一律ではなく、自分たちの住む地域に合わせて考えることが大切だということ、さらに家庭ごと、個人ごとに事情は異なります。
備えるべきものは一人ひとり違うため、防災を自分事として考える必要があります。

ー 買って終わりにしない防災食 ー

とくに「食」は、個人の好き嫌いやアレルギーも含めて、「自分の嗜好」が最も反映されるものです。
災害時であっても、人は食べなければなりません。
災害時の「食」を考えることは、防災を自分ごとにしやすい入口かもしれません。

まず寒川さんは、既製品の防災食を紹介してくださいました。近年は25年保存できる非常食も開発されています。
ただし、強調されていたのは、「長期保存の食品を買うだけで安心しないこと」です。

そこで紹介されたのが「ローリングストック」という備蓄方法です。普段の買い物で少し多めに購入し、賞味期限の近いものから使い、使った分を補充します。
こうして日常の中で循環させることで、無理なく、暮らしに合った食品の備蓄を一定量保つことができます。

特別なことをするのではなく、日常生活の延長として取り組むことが長続きの秘訣です。最近は賞味期限を管理できるアプリもあり、寒川せつこさんも活用されているそうです。
便利な仕組みを上手に取り入れることで、防災を負担なく続けることができます。
講師から防災食について学ぶ

ー 温かい一杯が生きる力につながる ー

講座の中で印象的だったのは、「温かい食事は贅沢ではありません」という言葉です。

災害時に温かいものを食べたり、灯りをともしたりすることは、時に贅沢と受け取られることがあります。しかし寒川さんは、それらは心を保つために必要なものだと話されました。

アウトドアの楽しみは「食べること」。冷たい食事ばかりでは気持ちが下がってしまいます。温かいものを口にすることでほっとし、次の行動への力が湧いてきます。食べることは、次の「生きる力」につながるのです。
真剣に聞き入る参加者の皆さん
この言葉を踏まえ、熱源を節約しながら作れる温かいメニューとして、次の3つを紹介してくださいました。
(1)ポリ袋で炊くお米
(2)少ない時間でゆでるパスタ
(3)あずきアイスを使ったお汁粉

会場は屋内でしたが、換気や火災報知器が作動しないよう、少し開けたドア付近でカセットコンロを使用しました。

1つ目:燃料と水を節約しながらお米を炊く方法

・新潟県民にはおなじみの耐熱ポリ袋に、米50gを入れる
・同量の水をポリ袋に入れる
・しっかり空気を抜き、袋を縛る(結び目を輪っか状にすると、加熱後に取り出しやすくなる)
・複数人で1つの鍋を利用する際は、色のついたクリップを付けることで見分けがつく
・鍋に入れる水は、ポリ袋がすべて浸るほどの少量でよい
・ポリ袋が鍋底につくのを防ぐために、耐熱皿か不織布を鍋底に敷く
・沸騰した湯にポリ袋を入れる
・炊き上がりの時間は、天候や気温によって変わるため、見た目で判断する
耐熱ポリ袋を活用、ポイントはしっかり空気を抜くこと
不織布を鍋底に敷く
この調理法のポイントは、お米を炊く際に「合」で炊くという固定観念を捨て、グラムでつくるところです。
今回の50gは、炊く前は「満足できる量なのだろうか」と思いましたが、炊き上がったお米がふっくらすると、おにぎり1つ分のサイズになり、満足感がありました。

さらに、一人分ずつ料理ができるため衛生的で、食中毒予防にもなります。また、分配の不公平が生じにくいという利点もあります。おにぎりを作る際は袋のまま握れ、皿も不要です。洗い物を減らせることは、水が限られている災害時には大きな意味を持ちます。

ふりかけを使えば食べている途中で味を変えることもでき、さらに工夫の余地がありそうでした。

この方法は温野菜の調理など、工夫次第でさまざまな料理に応用できるとのことでした。
ポリ袋で作ったおにぎり
2つ目は:長時間水に浸しておき、茹で時間を短縮できるパスタ
水に浸したパスタ
水に浸しておくことで麺をあらかじめふやかし、ゆで時間を短縮することで熱源の節約ができます。

・耐熱のチャック付き袋に、パスタ1束と麺のかさの約3倍の水を入れる
・約90分、麺が柔らかくなるまで置く
・麺は柔らかくなって曲げられるため、小さい鍋でも調理できる
・チャック付き袋から取り出し、熱湯で麺が温まる程度にさっとゆでる
キャンプグッズで盛り分けます
今回は、味付きソルトのみで簡単に味付けをしました。スパイシーな風味がとてもおいしかったです。
好きなふりかけや調味料など、自宅にあるもので応用ができると感じました。
パスタを試食
寒川さんによると、パスタは吸水できる量に上限があり、それ以上の水は吸わないため、冷蔵庫で10日間保存することもできるそうです。
ゆで時間を短縮できるのは災害時だけではなく、平常時にもありがたい工夫です。
10日に1度「パスタの日」を作れば、まさにローリングストックが日常の一部になります。

3つ目:あずきアイス(氷菓)とスライスしたお餅でつくるお汁粉
溶けたあずきアイス
停電時、冷凍庫の中のあずきアイスが溶けてしまいそうなときや、甘いものでほっと一息つきたいとき、子どもと一緒に楽しみながら防災意識を高めたいときにおすすめだそうです。
もちろん、平常時にお汁粉が飲みたくなったときにとっても便利です。

・角餅をピーラーやナイフで薄く削る
・溶けたあずきアイスと水を鍋に入れて温める
・削った餅を入れた器に温めた汁を注ぎ、餅を柔らかくする
あずきスープに変身
温かいあずきスープ
なぜ、餅を削るかというと、すぐに柔らかくするためです。
ピーラーで餅を薄く削ります
液体の量を増やすために加える水は、豆乳など別の飲料に替えてアレンジもできます。
実際に食べてみると、甘くて温かいものはほっこりしました。薄いお餅もアクセントになって、もちもちしていておいしかったです。
レシピのほかにも、洗い物を減らす工夫として紹介された「レトルトカレーを食べる際に、パウチの中にご飯を入れる」という例は、目からウロコの情報でした。

そして改めて、食事をとるうえで水の確保は欠かせないと感じました。
前々回の講座で教わった「一般に、水分を摂取できない状態が3日程度続くと、体に深刻な影響が出るおそれがある」という点も踏まえ、飲用に適した水はできるだけ飲料用として確保し、大切に活用したいと考えました。

熱源の節約の手段として、ネイチャーストーブの紹介もありました。火種さえあれば、燃料は牛乳パックや新聞紙が燃料にできます。

ほかにも、カセットコンロを使う際は風上に風よけを置くことでガスの消費を抑えられるなど、簡単に燃料節約の工夫を教えてもらいました。
ネイチャーストーブ

ー 暮らしに合わせて工夫する防災 ー

寒川さんは、「今日学んだことに自分のアイデアを足してほしい」と話されました。教わった通りに行うだけでなく、自分の暮らしに合わせて工夫することが大切だといいます。

失敗を恐れず、経験を重ねること。固定観念にとらわれず、柔らかい発想で取り組むこと。
防災は特別なものではなく、日常の中で楽しみながら身につけることができます。
講義も終盤
家庭で子どもと一緒に実験のように試してみることで、自然と防災意識が高まります。繰り返し体験することが、いざというときの力になります。

今回の講座を通して、防災は「構えるもの」ではなく、「暮らしの中にあるもの」だと感じました。日々の買い物や食卓の工夫が、そのまま備えになります。
自分が実際に被災した際に何を必要とするのか、何を優先したいのかを考える機会になりました。
集合写真
開催日時:令和8年1月24日 土曜日(13時00分~16時00分)
会場:駅北広場キターレ