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いといがわ\暮らしの防災術/vol.2レポート

更新日:2025年12月25日更新 印刷ページ表示

いといがわ\暮らしの防災術/第2回目が12月13日に開催されました!

前回に引き続き参加される方に加え、今回新たに参加される方もあり、会場は生活者・企業・地域団体の運営者など様々な立場から防災への関心を持つ参加者で賑わいました。
第2回の様子
講師は前回に続き、「かまくら暮らしの防災術」講師の寒川一(さんがわはじめ)さんです。
寒川さんは、2011年の東日本大震災をきっかけに、「アウトドアの知識は、普段アウトドアに縁のない人の暮らしにも役立つのではないか」と考え、防災の知恵を暮らしに落とし込む活動を続けています。

災害は起きないことが一番ですが、もし起きてしまったとしても、リカバリーの方法を知っていることで二次災害を防ぎ、減災につなげることができます。
今回の参加者も、防災への関心から参加した方、アウトドアに興味があって参加した方など、きっかけはさまざまでした。

寒川さんは普段、鎌倉を拠点に防災講座を行っており、鎌倉では主婦の参加者が多いそうです。
糸魚川では男女比がほぼ半々だったことも印象的とのことでした。

ー 「自助・共助・公助」にとらわれない防災の考え方 ー

現在、防災では「自助」「共助」「公助」という言葉がよく使われますが、寒川さんは、
「区切ってしまうことで、その間にある大切なことを取りこぼしてしまう」と話します。

役割を分けすぎると、結果的に押し付け合いになり、誰も動かなくなってしまうこともあります。
暮らしは一人ひとり違い、抱える問題も違います。
そのため、完全なお手本をそのまま真似する必要はなく、寒川さん自身がこれまで生きてきた中で培ったテクニックを共有するので、それぞれの立場の人が抱える問題解決の手助けをしたい、参加者の皆さんともその目線でディスカッションしていく場になりました。

また「衣・食・住」という言葉は、災害の多い日本で暮らしてきた先人たちが残してくれた知恵だと捉え、今回はその中の「衣」にフォーカス。
次回以降は「食」「住」についても学んでいきます。
衣食住について学ぶ

ー 低体温は想像以上に危険 ー

「人は身体が冷え切った場合には、体温保持を3時間以内にしなければ、命の危険にさらされると言われています。」

3時間と聞いて、通常であれば体温を確保できそうですが、災害時の場合、3時間があっという間に過ぎてしまいそうだと感じました。

一方で、適切な水分補給が行われていれば3週間程度食べなくても生き延びる可能性がある言われています(個人差があります!深刻な健康上の問題を引き起こす可能性がありますので決してそのようなことはしないでください)。
しかし、防災バッグの中身を見ると、暖を取るものよりも食料が優先されているケースが多いのが現状です。
食は欲求として意識しやすい一方、体温保持の重要性は見落とされがちです、という指摘が寒川さんからありました。

ー 適切に、快適に体温を保つための正しい重ね着「レイヤードシステム」 ー

体温保持のために重要なのが、レイヤードシステム(重ね着)です。
理想は全身を温めることですが、それが難しい場合は
「首・手首・足首」の5つの“首”を温めることが効果的とのことです。
首元にはネックウォーマーも使います
重ね着のポイントとしては、

インナー・ミドル・アウター

の3層を意識します。
日中と夜間・明け方では気温が大きく変わるため、重ね着によって柔軟に対応できることがポイントです。

インナー(肌着)は汗を取る役割を担っています。
汗は体温を下げ、不快感の原因にもなるため、レイヤードの要とも言えます。
寒川さんのおすすめはウール素材。その中でも「メリノウール」と呼ばれる素材がさらにおすすめです。
天然繊維ならではの複雑な繊維構造で汗を吸い取り、放湿性も兼ね備え、不快感を感じにくいそうです。
参加者が実際に触らせてもらったメリノウールのインナーとミドルウェアは、「チクチクする」というイメージを覆す柔らかさでした。
メリノウールを手に取ってみます
一方で、化学繊維にも乾きやすい、冷感素材があるなどのメリットがあり、使い分けが大切です。
そして注意すべきは、吸湿発熱性の素材です。
これは、人から発せられる水蒸気(汗)が繊維に触れると保温、発熱し、大変暖かく快適なのですが、汗をかきすぎると繊維の中で水分が飽和状態となり汗冷えを起こすことがあるそうです。
繊維の素材を理解し、用途を使い分けて使用するのが良いと思いました。

話は戻りますが、
ミドルレイヤーは体温を倍増させる役割があります。
ダウンウェアやフリースが代表例で、羽毛が空気の層を作り保温します。

ただし、ダウンは水に弱く、濡れると保温力が落ちる点には注意が必要です。
「ダウンはアウターだと思っていた」という声もあり、参加者にとって新たな発見となりました。

アウターは雨と風を防ぐ役割を持ち、体温が奪われるのを防ぎます。
シェルウェア(シェル=殻)が代表例です。

また、保温だけでなくベンチレーション(換気)も重要です。
ポケットや脇のジッパーを開けることで、オーバーヒートを防ぎ、着脱以外でも体温調整ができます。

インナーとアウターだけの2層構成など、体調に合わせた組み合わせも可能です。

ー 災害時に役立つ工夫とアイテム ー

腰から下も同様にレイヤードが重要です。
印象的だった提案の一つが、就寝時に空にしたリュックに足を入れて保温するという方法でした。

また、災害時に配布されることの多いエマージェンシーシート(アルミ保温シート)についても学びました。
薄い見た目に反して毛布3枚分の暖かさがあり、雨もはじきます。
実際に羽織ってみると、暖かいという印象でした。屋外でも体温の低下を防ぐとの感想も出ました。
アルミ保温シートの使い方を学ぶ
これはミドルレイヤーとして使うことができ、アウターの内側に着る工夫や、インソールとして靴底に敷く使い方も紹介されました。
アルミ保温シートを服の中に着込みます
金と銀の面があるタイプは、寒い時は、銀を体側に。金は外側で外気の熱を吸収することで効果的に保温できます。
複数をカバンや車などに分散して備えておくことがすすめられました。
寝袋の説明もありました
コット(簡易ベッド)を使えば、冬は床への放熱を防ぎ、夏は通気性を確保できます。
とにかく「床との断熱」は絶対に必要という言葉が強く印象に残りました。
コットに座ってみる
また、熱を守るためには、身体を濡らさないことが最優先。
濡れた衣類や靴下は、ためらわずにまずは身から外すことが大切です。
災害時は着替えも重要ですね。

ー 寝具と「床との断熱」の重要性 ー

続いては、寝具の話に。災害で自分の寝床がなくなった時、第二の寝床を作れるかも重要な視点です。
どれだけ服装で体温を守れても、体育館などの冷たい床に直接寝ると熱を奪われてしまいます。
折りたたみマットは、就寝時だけでなく座布団としても活用でき、避難生活の中で幅広く役立ちます。
役立つ折り畳みマット
寝袋を選ぶ際は、使用可能な温度が明記された信頼できる製品を選ぶことが重要です。
寝袋には封筒型とマミー型の2種類があり、封筒型は初心者向けではあるものの、肩口から熱が逃げやすいという特徴があります。
さらに、寝袋の中にインナーシーツを併用することで、約5℃分の保温効果を高めることができます。

ー 「本音の防災」を日常の暮らしの中で ー

最後に寒川さんは、
「ホームセンターで防災袋を買って終わり、という最大公約数的な“建前の防災”ではなく、
自分や家族のための“本音の防災”をしてほしい」
と語りました。

暮らしの防災術は、その最前線にある。
今回の講座は、参加者一人ひとりが自分の暮らしと防災を見直すきっかけとなる時間でした。

防災と普段の生活を分けて考えていた私にとって、日常に活かせる防災術はとても新鮮でした。
さっそく、自宅に帰ってから試してみましたが、レイヤードシステムを活用することで、暖房に頼らないで自身を暖かくすることができました。
この講座を受講することによって、日常の何気ない選択が少しずつ変わっていく。
それが、いざというときの大きな助けになることを感じました。

ぜひ、次回も多くの方に受講頂いて、日常の衣食住から取り組める目線を身につけることで、突然の災害時に自分や家族を守る術をひとつでも多く身につけてもらいたいと思います。

次回は、「防災の食」です。
「生きることは食べること。」と言われるくらい食は生きるために欠かせません。次回の講座では、ただ食べるための食事ではなく、日常から意識ができて、災害時も栄養補給と活用することができる食事を学ぶことができます。
災害時こそ、体力が必要で、栄養も必要になっていきます。知っておいて損はないと思います!!
ぜひ奮ってのご参加お待ちしております。
次回もお楽しみ!

ー次回予告ー

第3回いといがわ\暮らしの防災術/では、
キターレにて防災の「食」をテーマに実施します。
寒川さんの奥様・せつこさん(防災クッキング専門家)が中心となり、美味しい非常食を実際に試していきます。
少量の熱やガスで調理するための工夫も紹介していく予定です。
さらに、食は単なるエネルギー補給ではなく、心を落ち着かせ、暮らしの質を支える大切な要素であることもお伝えしていきます。
防災のために特別なものを用意するのではなく、普段の暮らしの中に取り入れ、楽しみながら備える「食の防災」を一緒に考えていきましょう!

※定員に限りがありますので、参加をご希望の方はお早めにお申し込みください。
応募につきましては、以下の申込フォームへ必須事項をご入力ください。
日時:令和8年1月24日 土曜日(13時00分~16時00分)
会場:駅北広場キターレ
申込フォームはつぎのとおり↓
問合先:Tel:025-556-8200
メール:kita-re@air.con.ne.jp(駅北広場キターレ)
第3回、第4回までの内容
対象者など
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