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[その他のファイル/3.28MB]明治40年、早稲田大学創立25周年記念事業として制定された校歌。
御風は恩師である坪内逍遥、島村抱月から校歌作詞の依頼を受け、寝食を忘れて作詞に没頭します。10日あまりで仕上げた草稿に逍遥が筆を加え、不朽の名校歌と称される「都の西北」が誕生しました。
- 都の西北 早稲田の森に 聳ゆる甍は われらが母校
われらが日ごろの 抱負を知るや 進取の精神 学の独立
現世を忘れぬ 久遠の理想 かがやくわれらが 行手を見よや
わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ
- 東西古今の 文化のうしほ 一つに渦巻く 大島国の
大なる使命を 担ひて立てる われらが行手は 窮り知らず
やがても久遠の 理想の影は あまねく天下に 輝き布かん
わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ
- あれ見よかしこの 常磐の森は 心のふるさと われらが母校
集り散じて 人は変れど 仰ぐは同じき 理想の光
いざ声そろへて 空もとどろに われらが母校の 名をばたたへん
わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ わせだ
春よ来い 作詞:相馬御風 作曲:弘田龍太郎
[その他のファイル/927KB]児童向雑誌「金の鳥」(大正12年3月1日、金の鳥社)への発表が初出とされています。御風の作詞曲の中でも知名度の高い作品です。
- 春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている
- 春よ来い 早く来い
おうちのまえの 桃の木の
蕾もみんな ふくらんで
はよ咲きたいと 待っている
夏の雲 作詞:相馬御風 作曲:中山晋平
[その他のファイル/952KB]初出は「小学女生」(大正10年7月)。「銀の鈴」に収録。1番の歌詞の「あの峰こえて 海こえて」、同じく2番の最後の「飛んでゆけ」は、御風のオリジナルではそれぞれ「あの海こえて 山こえて」、「飛んでこい」となっています。これは作曲の際に中山晋平が詞を改編したものと考えられます。
- るり色の 海のむこうの大空に
今日もわき出た 白い雲
やわらかそうな 雲の峰
あの峰こえて 海こえて
私の鳩よ とんでゆけ
- こみどりの 山のむこうの大空に
今日もわき出た 白い雲
いかめしそうな 雲の城
あの城こえて 山こえて
私の鳩よ とんでこい
カチューシャの唄 作詞:島村抱月、相馬御風 作曲:中山晋平
[その他のファイル/3.39MB]大正3年3月、島村抱月主宰の芸術座が帝国劇場で「復活」(トルストイ原作)を上演し、その劇中歌として松井須磨子が歌いました。
歌詞は1番が抱月、2番以降が御風の作詞とされています。晋平の作曲家としてのデビュー作であり、抱月からは「学校唱歌でもなく、西洋の賛美歌でもない、日本の俗謡と西洋歌曲の中間のような旋律」と指示されていました。日本の流行歌第1号ともいわれています。
- カチューシャ可愛や 別れのつらさ
せめて淡雪 とけぬ間と
神に願いを(ララ)かけましょか
- カチューシャ可愛や 別れのつらさ
今宵ひと夜に ふる雪の
明日は野山の(ララ)路かくせ
- カチューシャ可愛や 別れのつらさ
せめて又逢う それまでは
おなじ姿で(ララ)いてたもれ
- カチューシャ可愛や 別れのつらさ
つらい別れの 涙の隙に
風は野を吹く(ララ)日は暮れる
- カチューシャ可愛や 別れのつらさ
広い野原を とぼとぼと
ひとり出て行く(ララ)明日の旅
※( )のララは中山晋平により挿入された
ふるさと 作詞:相馬御風 作曲:飯吉亮一
[その他のファイル/4.07MB]御風著「静に思ふ」(昭和21年9月30日、一聯社)に収録。曲は御風没後に飯吉亮一氏がつけました。
御風の原題には「ある復員者に代りて」と副題があり、もともとは戦地から引きあげてきた復員者の代弁的立場で作詞されたものです。
- ふるさとの 山はなつかし ふるさとの 川はなつかし
疲れたる こころいだきて 足おもく かえり来たれば
ふるさとに 山はありけり ふるさとに 川はありけり
- ちちのみの 父はなつかし たらちねの 母はなつかし
おさなごの こころになりて 身もかろく かどをくぐれば
すこやかに 父はましけり なごやかに 母はましけり
- ふるさとの 友はなつかし ふるさとの 土はなつかし
こみあぐる なみだのみこみ 友の手を 土をにぎれば
あたたかく 友はありけり やわらかく 土はありけり
糸魚川小唄 作詞:相馬御風 作曲:中山晋平
昭和11年8月27日、糸魚川小学校の大講堂落成記念式典の中で発表されました。囃子言葉は晋平の挿入、踊りの振り付けは藤蔭静枝。御風編集雑誌「野を歩む者」第39号(昭和11年10月)に収録されています。
- つもる白雪 サラリと解けて 春は太鼓の 音から明けりゃ
若い力で せり合う神輿 稚児の舞う手に 花が散る
- 沖は万灯か 竜宮城か 太刀魚釣りかよ いか釣り舟か
浜のさざめき 夜更けの空に 夫婦星かや チラチラと
- 海は翡翠か 雫は真珠か 波にうきうき 南を見れば
空にゃ銀色 白馬ヶ岳も 笑顔涼しく 雪を抱く
- のぼろのぼろよ 白馬の山へ 糸魚川から 姫川づたい
汗は蓮華の 湯壺で流し お花畑を 寝どころに
- ヨホイヨホイで 盆の夜が更ける 稲は満作 穂に穂が下がる
唄の文句は 細谷川で 鶯の声 ほのぼのと
- 夜の村雨 カラリと晴れりゃ 山は紅葉の あの裾模様
りんと立ったる 黒姫さまも 今朝はホンノリ 薄化粧
- 海の遠鳴り 夜風は寒い どこで鳴くやら あの浜千鳥
心しみじみ 月見て更かす 秋の浜家の しめやかさ
- 白馬しまけば 里には霰 海は高波 能登さえ見えぬ
柑子蜜柑の 色づく頃は 濡らすまいぞえ 稲架の稲
- 美山三本松 あのスロープに 残すスキーの 痕さえ光る
光る雪道 里から里へ なさけ心の 通い道
- 雪はふるふる 昨日も今日も 明日は雪かよ 炬燵のまどい
唄ではげまし 話でなだめ 同じ思いで 春を待つ
雪の日の小鳥 作詞:相馬御風 作曲:弘田龍太郎
[その他のファイル/3.29MB]初出は不詳、「うちの燕」(大正13年6月)に収録。御風は良寛をテーマにした童話や童謡もいくつか創作しています。
- ちゅんちゅん小鳥が鳴いている
ちゅんちゅん小鳥の鳴く声に
良寛さまは目がさめた
- 外は初雪ぼたん雪
五寸六寸一尺と
見る間にずんずん積もります
- ちゅんちゅん小鳥は寒かろと
良寛さまは戸を開けて
小鳥を呼んでやりました
- 良寛さまの呼ぶ声に
ちゅんちゅん小鳥はおどろいて
ちゅんちゅん逃げてゆきました
- 外は初雪ぼたん雪
雪のふるのに寒いのに
ちゅんちゅん小鳥は逃げました
- 良寛さまはさびしそう
寝ながら雪のふる音を
静かに聞いておりました
あられ 作詞:相馬御風 作曲:中山晋平
[その他のファイル/1.03MB]初出は女児向雑誌「小学女生」(大正9年12月、実業之日本社)。相馬御風童謡集「銀の鈴」(大正12年4月23日、春陽堂)に収録されています。
- 今朝も コンコンコロコロと
おもしろそうに 降るあられ
屋根の上やら 木の上を
おどりつ跳ねつ コロコロと
ころがり落ちて つぎつぎに
あたま並べる 土のうえ
- 今朝も コンコンコロコロと
白い小さい 玉あられ
窓のすきから とびこんで
机の上を コロコロと
ご本のかげに かくれます
白い小さい 玉あられ
雲の峰 作詞:相馬御風 作曲:小松耕輔
初出不詳。小松耕輔作曲集「小鳥の歌」(大正10年3月10目、アルス)に収録されています。
- 疲れたる 旅人の 仰ぎ見る 大空に
様々の すがたして わきあがる 雲の峰
- わきあがり やがてまた くずれゆく 雲の峰
あわれその さだめなき まどわしの 姿かな
- わがたどる 運命の はてしなき 旅の空
われはまた 日毎みる たのみなき 雲の峰
春の雨 作詞:相馬御風 作曲:中山晋平
[その他のファイル/3.58MB]大正5年5月発表。「カチユーシヤの唄」に続く中山晋平の出版楽譜第2作目。曲が先に完成しており、晋平が数年温めていたメロディーを発表するため、御風に依頼して詞を後からつけました。
- 水の面にうつる ともしびの
かげに降る雨 春の雨
人待つ胸の たそがれに
わびしくも降る 春の雨
- 岸の柳に 鳴き濡れし
つばめもいつか 巣に帰り
橋の上ゆく 人影は
もやのおぼろに 消えてゆく
- 昨日も今日も たれ込めて
我がよる窓に 音もなく
散りて乱るる 花びらの
濡れて冷たき 春の雨
- やるせなき身の いとせめて
切れよと弾けど ヴィオロンの
か細き糸は いつしかに
すすり泣く 音の歌ばかり