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復興レポート

インタビュー | 特集
縁の下のチカラ持ち3「区長の目から見た緑町区の変化」
2019/12/11

 HOPEの第0号に被災地域3区長のひとりとして登場していただいた白沢賢二さんが、今年末で緑町区長の任期満了を迎えます。2年前の取材では、被災者の心のケアを最優先に復興に向けて駆け出したばかりでした。今回は区長の目から見た緑町区の変化について伺いました。


被災地区の区長として

平成15年度~令和元年度 緑町区長 白沢 賢二(しらさわけんじ)さん

平成15年度~令和元年度 緑町区長 白沢 賢二(しらさわけんじ)さん

 まちの姿が大きく変わった糸魚川市駅北大火からもうすぐ3年が経とうとしています。白沢さんはこれまで、被災した緑町区、大町区、新七区に中央区を加えた4区長と行政の担当者と一緒に、防災の取組などを全国の方に知ってもらうため、積極的に視察対応を行いました。さらに、1976年に大火を経験した山形県酒田市や、岐阜県高山市にある木造の住宅が密集しているまちなど複数の地域へ視察に出向き、糸魚川に活かせる事例を持ち帰っては幾度も会議を重ねてきました。中でも、『住民の避難誘導に関して、自治会役員の服装では目立たないため徹底させることに無理があった』という問題には、茨城県のある自治体が独自の制服を作り効果を上げているといった報告を受け、とても参考になったと話します。常に緑町区の先頭に立ち、自ら行動に移す姿は駅北地域の復興に弾みをつけ、勇気づけてくれています。


率先して行動する人に

 緑町区民も白沢さんの行動に応えるかのように、意識の変化が見られました。駅北大火以前は消火設備の設置場所すら周知されていませんでしたが、3地区合同で行った40ミリホースを使った初期消火訓練では一人ひとりが当事者意識をもって積極的に訓練に励む姿がありました。また、大火が発生した12月22日には、大火を繰り返さないよう意識付ける取り組みとして、毎年被災地区の子どもたちを中心に「駅北火の用心夜回り隊」を編成し、防災の呼びかけを続けています。緑町区民の高齢化が進む中で、夜回り隊の活動は市全体にとっても、次世代の防災リーダー育成に一役買っています。また、駅北地域にある商店の多くは従業員が数人の中小企業です。かつての駅北地域では、商店や旅館などが多くの従業員を雇っていましたが、今では社長や店主も従業員の一人として日常業務の役割を担っている家族経営がほとんどなので、「おまんた祭りの市民流しに参加する人や地区の三役のなり手不足が年々深刻化している」と、不安を漏らす白沢さん。地域のリーダーとしても名乗りを上げてくれる人が増えることを期待しています。


これからの緑町

美山公園での昼食会

美山公園での昼食会

 糸魚川駅前に2つの商店街を持つ緑町区について白沢さんは、「糸魚川市の玄関口として自覚をもってにぎわい創出に努めなければならない」と、言います。人を呼ぶことだけではなく、区民同士のふれあいを大切にすることで駅前の活性化につながるのではないか、という想いから、今年の夏には美山公園での昼食会や、緑町区民の100歳の方を祝う会を計画・開催しました。「参加者からとても好評だった」と話す白沢さんの表情からは自身も楽しんでいた様子が伺えました。また、今年2月に市内で開催されたリノベーションスクールでは、全国から集まった参加者が緑町区の空き物件などを使って事業計画づくりに取り組み、まちの未来を考えました。来年4月開設予定の駅北広場や雁木の整備など、復興するまちを中心にして、にぎわいに向けて少しずつ動き出しています。12月末で区長としての任務を終える白沢さんですが、これからも緑町区に暮らす一区民として、にぎわい創出に期待を込め見守ります。

 


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