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復興レポート

インタビュー | 特集
ふるさとツナグ絆10「樵Cafe」
2020/09/23

 2018年12月、亀田さんは定年退職を機に富山市から単身移住をして、樵Cafe(きこりカフェ)をオープン。駅北大火後の大町区に新しい明かりが灯りました。今回は、第二の人生を糸魚川で過ごす亀田さんに心意気を伺いました。


にぎわいの一助として

樵Cafe 亀田 邦彦(かめだ くにひこ)さん

樵Cafe 亀田 邦彦(かめだ くにひこ)さん

 オープン以前から、糸魚川に来てはお酒を楽しむことなどがよくあったという亀田さん。定年退職を前に、退職後は学生時代から数年間関わりがあった舞台関係の仕事をするか、趣味にしていた自家焙煎のコーヒーを扱うカフェを開くか、考えるようになりました。カフェの予定地として、富山市・糸魚川市・上越市が候補に浮かび、移住の3年前から物件探しを始めます。3年間で見た物件の数は200件以上。「いい物件が無ければ、舞台の仕事に…」とも考えていましたが、いえかつ糸魚川(※1)のWebサイトで好立地な物件(現店舗)を見つけることができました。その後駅北大火が発生し、かつてのまちの姿は変わってしまいましたが、それでもなお、この場所以外は考えられませんでした。糸魚川駅前の目立つ場所に本格的なカフェがないことが、人の流れのボトルネックにもなっているように見えていた亀田さんは「新しい駅北地域で、その役割を担うことができれば、自分もかろうじて生活するぐらいの商売はできるかもしれない」と、思い切って物件を購入。家族の理解を得て単身糸魚川に移住し、オープンの準備を進めました。


糸魚川での暮らし

 亀田さんは、オープンに至るまで「商工会議所や店舗改修にあたる業者の皆さま、市役所には大変助けられた」と、感謝を込めます。各種補助金や糸魚川創成塾(※2)などの起業支援サポートは心強い後押しとなりました。実際に移り住んでからは、地域の方々の気遣いと親切な対応に驚かされる日々。また、樵Cafeに来店されるほとんどのお客様が退店時に「おいしかった」「ありがとうございました」と声をかけてくださることにも感動しました。糸魚川市の人口は富山市の約10分の1。本来であれば、市場が大きな地域の方が客足も伸びそうですが、亀田さんは糸魚川という小さなコミュニティならではの人の温かさに心を打たれ、「もし、店を開いたのが他の地域だったら今頃続けていられなかったかもしれません」と、胸中を打ち明けます。糸魚川に暮らす人の姿を見て、今では奥様も糸魚川のファンになり、富山からほぼ毎日手伝いにきてくれるようになりました。


自慢していただける店に

 間もなくオープンから2年を迎え、今では糸魚川駅前を利用する方にとって、新たな憩いの場となっている樵Cafe。自家焙煎を売りにしているコーヒーの味はもちろんのこと、亀田さんの持つ知識や人柄を求めて市内外から多くのお客さんを集めています。時には東京や大阪などの遠方から、同店目当てに市内観光に来ていただくこともあったそうです。オープン当初は、試行錯誤する日々でしたが、臨機応変に対応しながら1年9カ月走り続けてきました。寝る間も惜しんでコーヒーに向き合う姿勢は変わりませんが、亀田さん自身にも近くに行きつけの理容室ができるなど、駅北地域の一員として親密な関係を築いています。最後に今後の意気込みを伺うと、「今は、1日でも長く頑張り続けることが最大の目標。そして、いつの日か地域の皆様に自慢していただけるような店になりたい」と、語ってくれました。カウンター越しに見る、亀田さんの所作は思わず見入ってしまうほど。紙面では伝わりきらない香りと味は、是非店内でお楽しみください。

※1
いえかつ糸魚川(一般社団法人空き家活用ネットワーク糸魚川)
糸魚川市内の空き家・空き店舗を有効活用し、移住・定住を促進することを目的とした、売りたい人と買いたい人、貸したい人と借りたい人をつなぐ総合相談窓口。

※2
糸魚川創成塾
これから創業をお考えの方、いつかは創業してみたいという思いのある方、事業の新展開を考えたい方などを応援する事業。起業・創業に必要な知識を集中的に学ぶ5日間の学習講座。


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Information

樵Cafe
糸魚川市大町1-2-3 TEL.025-555-7987
営業時間 月・木・土・日/10:00~19:00
     火/10:00~17:00
     金/10:00~19:00、20:30~23:00
定休日  水曜日