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復興レポート

インタビュー | 特集
縁の下のチカラ持ち6「BASE968」
2020/05/13

 4月1日にオープンした駅北広場「キターレ」の指定管理を担う株式会社BASE968(ベースキュウロクハチ)。
 豊富な知識と様々な視点によるアイデアには期待が高まります。
 今回は代表の2人にお話を伺いました。


まちと人に惹かれて

株式会社 BASE968 代表 小出 薫(こいで かおる)さん

株式会社 BASE968 代表 小出 薫(こいで かおる)さん

 HOPEの知識号でも、何度か名前が出ていた株式会社BASE968。拠点という意味の「BASE」と、幸せの象徴であるクローバー「968」を掛け合わせ、人材育成・ものづくり・交流創出・防災教育の4つの事業に取り組むまちづくり会社として、2019年1月29日に設立しました。東京都出身の小出さんは弁護士(新潟県弁護士会所属)として、糸魚川へ派遣された後、独立。移住して今年で6年目になります。糸魚川の印象を伺うと、人との付き合い方が濃いと話します。「東京では、家庭で野菜が余っても近所の人に持っていこうとは思いませんでした。糸魚川に来た当初から、たくさんの人に助けていただき、とてもお世話になっています」と人のあたたかさに心が動いたことを思い返します。「自分も何かお返ししたい」との想いから、まちづくりに興味を持つようになりました。

株式会社 BASE968 代表 野村 祐太(のむら ゆうた)さん

株式会社 BASE968 代表 野村 祐太(のむら ゆうた)さん

 HOPEのVol.1にも登場してくれた野村さんは、駅北大火の復興支援を機に糸魚川へ。駅北大火は、野村さんが防災関連の会社を始めてから県内で起きた初めての大規模災害で、「大火翌日から今でも糸魚川に携わっていることには、不思議な縁を感じている」と話します。糸魚川に来て3年目を迎え、一緒に長岡市から引っ越すことになった奥様も今ではママ友ができ、糸魚川を「住みやすい」と感じてくれているそう。野村さんは、「人との繋がりができてまちの良さを感じているみたい」と、身近なコミュニティーの大切さを語ります。


次のステップへ

第4回の「わたしのまちでカフェをつくる」にて

第4回の「わたしのまちでカフェをつくる」にて

 2人にはBASE968を設立する前に、大火をきっかけに立ち上げた市民団体「まちづくりらぼ」(以下、まちらぼ)の活動がありました。野村さんはまちらぼの発起人であり、小出さんとともに副代表を務めています。まちらぼには、U・Iターン就職を経験した20代~30代の若者が、自己実現や地域課題の解決を目指して所属しています。活動内容は主に非営利のボランティアで「自分たちがやりたいことをみんなでやろう」「糸魚川で何かやりたい人を応援しよう」ということ以外は制約がなく、同じ志を持った仲間が集まることで挑戦しやすいというのが特長でした。しかし、野村さんは「内容によってはボランティアでは限界があり、活動の幅を狭めているのではないか」と思い、起業することを決意。にぎわい創出広場にできる施設(現在のキターレ)の指定管理者の募集もあり、まちらぼで一緒に活動していた矢島好美さんを含めた3人で、株式会社として設立したのがBASE968の始まりでした。糸魚川に住んでいる人の暮らしが“少し”豊かになることを大切な指針として掲げ、「家庭」と「仕事」の次にある第3の時間をキターレで楽しんでもらえたら、と考えます。その仕掛けとして、キターレの完成前からシェアキッチンを想定して、「食」をヒントに、興味を持つ人との出会いの場を設け、地域の人がどのようなことに興味関心があるのかを探りました。「わたしのまちでカフェをつくる(通称わたカフェ)」という連続企画では市内外問わず、ピザ職人やカフェ店主など「食」にまつわるゲストを招き、実演を交えた講座を開きました。全6回の「わたカフェ」で集めた約80人の声は、現在シェアキッチンを運営するうえでの糧となっています。


指定管理者として

 2019年12月、BASE968は指定管理者に選定されました。「自分に何かノウハウがあるわけではないけれど、大火後のワークショップで出された様々なアイデアに取り組まないまま過ぎていくのは嫌だった」と振り返る小出さん。しかし、いざ決まるとなると、自分の人生でこういった場所の運営に関わるのは想定外だったと打ち明けます。「挑戦できる面白さと同時に、設置費用以上の価値を糸魚川に返さないといけないプレッシャーも感じています」と話す小出さんを、野村さんは、「キターレのような施設は糸魚川に今までなかったから、正解もないんですよ。僕たちだから出来ることをやっていこう」と受け止めました。
 今までの活動を振り返り、まちらぼを結成して初めての活動である大火復興一年事業のイルミネーションも現在のキターレがある場所で行われ、BASE968をまちづくり会社として事業化するきっかけとなったのもキターレだと気付いた野村さん。「どちらもスタートが同じ場所なのは感慨深い」と話し、より一層キターレへの思い入れが強くなったように感じられました。

挑戦する人を応援

防災教育や人材づくりの一環として学生からヒアリングを受けることも。

防災教育や人材づくりの一環として学生からヒアリングを受けることも。

 2017年度から始まった5年間の復興まちづくり計画も、今年度から4年目に入りました。今年は復興整備期から復興展開期へと、最終段階に進む年となります。復興のその先も続いていくまちづくりの要として、「キターレ」のオープンには市民はもちろん市外からの注目度も高まります。キターレのことで、「公民館やヒスイ王国館があるのにどうして今更こんな建物が必要なのか」という疑問をぶつけられることもあったそう。小出さんは、「人口が減少しているなか、キターレのことを人の集まる“箱”にするという考えだけでは限界がある」といいます。野村さんも、「人が多く集まれば良いわけではない。キターレが地域の人の生活の一部となる運営方法のモデルをつくっていきたい」と語ります。まずは、糸魚川で自分たちが一歩を踏み出し、施設としての可能性が広がれば、市内の他地域にもキターレのような環境をつくれるのでは、と糸魚川全域を視野に入れた展望を話してくれました。
 最後に野村さんは「ここは毎日必ず誰かがチャレンジしている場所。キッチンの利用者や、イベントを企画する人など、何かに頑張っている姿をみて刺激を受けてほしい」とBASE968を代表して今後の想いを込めます。取材日、キターレの大きな窓から入る春の日差しが、2人の新たな門出を応援しているようでした。


Information

土曜キタ市  本町通りの「土曜楽市」と同時開催!

出店日/毎週土曜日(第5土曜日はお休みです)
出店時間/午前9時30分~お昼過ぎまで
     ※無くなり次第、終了です
場所/キターレ屋外広場(大町2-2-19)
「土曜楽市」と一緒にお楽しみください!

出店者募集 出展料無料

土曜キタ市に出店してみませんか?お気軽にお問い合わせ・お申込みください。
【問合先】 キターレ TEL 025-556-8200
E-mail kita-re@air.ocn.ne.jp
HP https://www.kita-re.jp/
※今後の情勢により中止・変更する場合がございます。詳しくはキターレのHPにてご確認ください。

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