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復興レポート

インタビュー | 特集
ふるさとツナグ絆8「白嶺防災フォーラム」
2019/09/11

 糸魚川市駅北大火をきっかけに2017年から開催されている「白嶺防災フォーラム」。糸魚川白嶺高等学校の生徒が、防災を専門に行う学科で学ぶ高校生や外部講師を招いて、ともに学び、考え、意見交換し、防災についての知識を深めています。9月21日(土)、22日(日)に迫る今年の「白嶺防災フォーラム2019」を取りまとめる生徒の代表二人に話を伺いました。


防災意識の芽生え

白嶺高校3年生 猪又 桜(いのまたさくら)さん

白嶺高校3年生 猪又 桜(いのまたさくら)さん

 糸魚川白嶺高等学校は、地域貢献の一環として防災・減災教育を推進しています。そのうちの一つ「白嶺防災フォーラム」は、白嶺高校の生徒が自主的に防災に興味・関心を持てるように始まった課外活動。今年で3回目となる「白嶺防災フォーラム」を、中心となって企画・進行するのは、笑顔が素敵な3年生の猪又さんと佐藤さんです。
 猪又さんが防災に興味を持ち始めたのは、東日本大震災(2011)が発生した小学3年生の時でした。東日本大震災が発生した当時は、新潟県中越地震(2004)、新潟県中越沖地震(2007)と、県内でも大規模な地震が発生していたこともあり、立て続けに起こる自然災害に多くの人が心を痛めていました。猪又さんが通う小学校でも防災への取組として、総合の授業で避難の疑似体験が行われ、怪我の応急手当や炊き出しなどを教わりました。しかし、中学生になると防災を学ぶ機会は減り、災害への危機感も薄れていたところに駅北大火が発生。猪又さんは「防災知識を持つことの重要性を再認識しました」と話します。高校生になって、「白嶺防災フォーラム」の開催を知り、初回から継続して参加しています。佐藤さんは、「駅北大火の報道を見ているうちに、地震や津波のような自然災害に備えるだけではなく、火災なら未然に防ぐことが出来たのではないかと思い、正しい知識を学ぶため昨年から参加しました」と、活動への想いを語ってくれました。防災を身近なものにするため、与えられた環境だけではなく、自ら外に出て学びに行く姿勢がとても頼もしい二人です。


同世代に学ぶ

白嶺高校3年生 佐藤 瑠香(さとうるか)さん

白嶺高校3年生 佐藤 瑠香(さとうるか)さん

  一緒に参加してもらうのは、2002年度に全国で初めて防災教育を推進する環境防災科を設置した兵庫県立舞子高等学校と、2016年度から防災・減災のリーダーを育成する災害科学科を新設した宮城県多賀城高等学校。防災を学ぶ2校との交流を通して同世代から専門的な知識を学びます。
 昨年の「白嶺防災フォーラム」での出会いがきっかけで、猪又さんと佐藤さんは舞子高校からの招待を受け、兵庫県で開催された「全国防災ジュニアリーダー育成合宿」にも参加しました。東日本大震災(2011)や熊本地震(2016)、西日本豪雨(2018)などの被害に遭った地域に暮らす中高生や、阪神・淡路大震災(1995)を語り継ぐ兵庫県内の中高生を中心に、全国の防災に興味・関心を持つ仲間が一堂に会し、各地の防災への取組について意見交換をしました。他の学校で行われる避難訓練は、避難した後の炊き出しを行ったり、訓練が予告なしで始まったりするなど、実際の状況に近い形で行われていることを聞き、佐藤さんは「当校でも取り組めそうな話をたくさん聞くことができて、勉強になりました」と話します。
 4日間に渡る合宿はとても有意義で、今年は1年生が夏休みを利用し、仙台で行われる合宿に参加してきました。参加した1年生の二人は今回の「白嶺防災フォーラム」で成果を発表するため、現在資料づくりに励んでいます。


糸魚川の代表として

全国防災ジュニアリーダー合宿で発表

全国防災ジュニアリーダー合宿で発表

 1年目、2年目と、駅北大火からの復興やまちづくりを取り上げ、舞子高校、多賀城高校と一緒に学んできましたが、3年目の今年は二人が企画するワークショップに、市内の高校からも参加者を募ります。他県の高校生は、親しみやすいなかにも積極的に発言する人が多く、「白嶺防災フォーラム」当日は、いつもの校舎にいるだけでは体験できない、学校間の垣根を越えた新しい刺激を受けることが出来るそうです。
 高校生活最後の年でもあり、今から既に緊張していると話す二人。「防災を専門に学んでいなくても、防災に興味を持っている高校生がいるということは知ってもらいたい」と述べる猪又さんに続けて、佐藤さんも「せっかく糸魚川に来てもらうので、まだ駅北大火のことを知らない人にもしっかり伝えられるようにしたい」という二人の言葉からは、活動への意気込みが感じられました。また、猪又さんは「白嶺高校生であれば、総合学科の特色を活かして、工業を専攻している人はボイラー技士の資格を活かして災害時に暖を取る方法を調べ、健康福祉を専攻している人は避難所で障害者や高齢者への対応に協力出来るはず」と、今までの交流の中で得たアイデアを例に挙げ、総合学科ならではの多彩なアプローチで、参加者から多くの意見が出ることを期待しています。

 


未来の自分たちのためにも

「白嶺防災フォーラム」に向けて糸魚川市消防署の副署長にインタビューをしました。

「白嶺防災フォーラム」に向けて糸魚川市消防署の副署長にインタビューをしました。

  高校生活を通して「防災」と関わり、人一倍の防災意識を持った仲間たちと交流してきた二人。糸魚川に暮らす同世代の中では、ここまで防災に興味・関心を持っている友達はまだまだ少ないと顔を見合わせます。佐藤さんは、「実際に災害が起こったときのことを想像して、少しでも防災に関心を持ってくれる人が増えたら嬉しい」と話します。二人は市外への進学が決まっているため、一度はふるさとを離れてしまいますが、いつか“にぎわいのある糸魚川”に帰ってきたいという想いを打ち明けてくれました。
 これからの糸魚川について尋ねると、猪又さんは、「まずは近所の人とコミュニケーションが取れるようになることが第一歩。そうすることで、にぎわいや防災にも繋がるのではないか」と答えます。二人が防災に関して興味・関心を持ち、取り組んできたことは、いつか必ず役に立つときがくるでしょう。駅北大火を風化させないように、後輩たちにも語り継ぎ、未来を担う防災リーダーとして、自信を持って羽ばたいて欲しいですね。

二人の他に3年生2人、1年生2人の計6人で準備を進めています。力を合わせて頑張ります!

二人の他に3年生2人、1年生2人の計6人で準備を進めています。 力を合わせて頑張ります!

 

Information

白嶺防災フォーラム2019
期日/9月21日(土)、22日(日)
会場/フォッサマグナミュージアム、糸魚川市立青海中学校セミナーハウス など
市内高校・中学校には案内を送付いたします。

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