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復興レポート

インタビュー | 特集
ふるさとツナグ絆4「糸魚川青年会議所」
2019/01/09

 糸魚川市駅北大火の発災から2年、この月日を経て、糸魚川のまちはどのように変わってきたのでしょうか。
 まちをより明るくすることを目的に、地域社会の諸問題を追求し、活動をする「糸魚川青年会議所」(以下、糸魚川JC)。年齢は20歳から40歳まで、異業種の集まりで構成される会員のなかから、2018年度理事長を務めた倉又さんと、2019年度理事長としてこれからを担う保坂さんが、新旧理事長という立場で語り合いました。


今の糸魚川をどう見るか

保坂さん 昨年度の理事長としての任期、大変お疲れ様でした。私は一度進学と就職で地元を離れたUターン組ですが、糸魚川の食べ物は魚も野菜も本当においしいと思っています。都会とは食材の鮮度が違いますよね。ただ、にぎわいという面では、商店街を歩いてみても都会と比べて少しさみしいなと感じてしまいます。いといがわバル街やいといがわ復興マルシェなどのイベント時は「こんなにも人がいるんだな」と実感できますが、もっと日常的に活気を出していきたいです。
倉又さん ありがとうございます。にぎわいが少ないのは、どこかで「糸魚川ってなにもないよね」と思っている人がいるからなのかなと。でも、大火がまちに対する考え方を見直すきっかけになって、一時期より「自分たちがやらなきゃ」と糸魚川を明るくするために動く人も増えたので、若い人に活気が出てきている気がする。特に糸魚川JCは、まちのことに対して一緒になって活動し、率先して行動できる立場にあるから。組織の運営を担う総務室と、青少年の育成等を担当するひとづくりと、「こんなまちにしたい」を行動に移すまちづくり。3つの分野のもと、行政や他の団体がやっていることではなく、若者らしい発想で活動していきましょう。


青年会議所の強みと誇り

倉又さん 糸魚川JCは同世代で経営に携わる人、これから会社を担っていく人も多いので、様々な話や悩みも相談できて、これからどうすればいいのかを考えるきっかけづくりの場として、すごくありがたい。理事長には、月に一回県内JCの各理事長と専務が集まる会議があり、北信越地区や日本といった大きな規模の集まりも、希望すれば出向というかたちで参加することができる。裏を返せば、自分で望まなければそういった場で経験をつむことはできません。
保坂さん たしかに出会いはJCの魅力のひとつだと思います。普段は自身の業種に関わりのある人しか会う機会はないですが、異業種の人と知り合うことで、違う目線でアドバイスをして、切磋琢磨できるのはありがたいです。隣の長野県は塩尻、松本、大町にもJCがあって、祝賀会で交流をしたり、どこかで会ったら声を掛けあったり。「こうなりたい、交流したい」と思って自分から行動しなければ変わりませんが、糸魚川だけで活動していれば井の中の蛙ですから。
倉又さん JCに所属するメンバーはそれぞれ本業があるから、周りの協力や理解があって初めて活動ができる。その事実に対して、僕らはJCの活動でなにかを持って帰る必要があるし、金銭的な部分というより、自分が変わったことで会社や家族にお返しできるようにならないといけない。
保坂さん 理事長になると会の代表として昼間の会議も出席する必要があります。倉又さんが言われたように、会社と家族の理解がないとできない。自分自身が成長する姿を見せて、それをきっかけに会社も成長できればと思っています。今は周りの人から時間を貸していただいているという感じですが、いずれ恩返ししていきたいです。


安心して暮らせるまちを

糸魚川の自然を守り伝えるために 製作した絵本を読み聞かせる様子

糸魚川の自然を守り伝えるために製作した絵本を読み聞かせる様子

倉又さん 昨年は「災害のない糸魚川を目指したい」と課題を掘り下げていき、新設したのが「災害ネットワーク構築委員会」。大火の時は何かしたいけれど何をしたらいいかわからない人と、実際被害に遭って困っている人がいた。その人たちをマッチングできたら、災害時に少しでも早く対応できるようになるのでは、という想いがあった。
保坂さん 毎年どの切り口で事業に取り組んでいくのかは、その代の理事長によって異なります。私も副理事長として「災害に対して安心して住み暮らせるまちをつくりたい」という倉又さんの想いのもと、被災時の迅速な対応を目指して活動しました。糸魚川には災害専門のNPOがないので、普段からまちづくりを担うJCが災害時のボランティアセンター立ち上げに関わることで円滑に支援活動ができるのではないかと、社会福祉協議会や福祉事務所とのネットワークづくりを行いました。平成30年7月豪雨の被災地真備町に上越地域の三社協とJCでボランティア活動に参加し、JC例会での学習を経て、自分や家族の身を守った上で周囲に声を掛けるという「自助・公助・共助」が大事だということも学びました。
倉又さん ボランティアセンターの役割を意外とわかっていなかったし、発生した時の避難経路は地域で訓練するけれど、災害が起きた後どうするのかも地域ではわからない人が多かった。ただ、この委員会の成果は、災害が起きてボランティアセンターを立ち上げるという段階で実を結ぶものだから…災害が起こらないと成果のほどがわからないという意味では、メンバーに苦しい想いをさせてしまった。でも、委員会の実績は間違いなく意味があることだと思う。
保坂さん 今年度は災害ネットワーク構築委員会としてのかたちは残りませんが、ほかの連携先は担当者が決まっているので、JCも担当者を明確にして「今年はこの人が担当です」と顔の見える引き継ぎを行っていきたいと思います。災害が起こった時に「はじめまして」では迅速な対応ができません。私もいつまでも在籍できないので、後輩や他のメンバーにも伝えていきます。

 


次代へと託されるバトン

二人の背後には、50周年記念事業として企画したミュージカルがJCの新潟ブロック大会で最優秀賞を受賞した際のトロフィーが飾られていました

二人の背後には、50周年記念事業として企画したミュージカルがJCの新潟ブロック大会で最優秀賞を受賞した際のトロフィーが飾られていました

倉又さん 51年目を迎えた昨年は「PROGLESS」というスローガンのもと、大小は問わないから一歩をしっかり踏み出していこうと活動した一年だった。自分たちがやらなかったことを棚に上げて、子どもたちにまちづくりを任せるのは違うと思うし、親として子どもたちに糸魚川を残してあげたい、将来ここに住みたいって思えるまちにしてあげたい。そのために僕たち世代はどんなことが出来るのかを考えていかないといけなかった。
保坂さん 今年は前年度の「PROGLESS」を引き継いで、「POSITIVE~私たちが率先して行動しよう」というスローガンを掲げています。2010年に入会して以来、様々な活動の機会を与えてもらいましたが、当初は後ろ向きな部分もありました。活動していくうちに前向きになれるきっかけを得たこともあり、せっかくJCに所属しているなら失敗をしてもいいから前向きに行動しよう、という想いを込めています。
倉又さん 今年も常にまちのことを思って一歩踏み出してもらいたい。ただ、会社に帰属しJCにも入会しているからといって、家庭に負担をかけてまで活動をしてほしいとも思わない。なかなか時間がとれないメンバーがいても、毎日30分でも1時間でもいい。その限られた時間のなかで最高のパフォーマンスができる集まりであってほしいと願っています。
保坂さん そうですね。仕事と家庭とJCのバランスがあってこそ、より良い活動ができると思います。本当にまちのことを考えて真剣に活動している団体なので、いま糸魚川に住む20~40歳の若い方に意欲的に入会してもらえたら嬉しいです。これからも地域社会で必要とされるJCであるよう、今年一年理事長として頑張っていきます。

 


Information

 

2019年度新会員募集中
20~40歳の健全な青年であればどなたでも入会できます! 事務局に電話、もしくはJC会員の知人に直接お声掛けください!
新潟県糸魚川市寺町2-8-16 糸魚川商工会議所会館内
一般社団法人 糸魚川青年会議所 事務局
TEL 025-552-9343 FAX 025-552-8860

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