更新日:2020年2月12日
糸魚川市鬼舞の「伊藤家住宅」は、平成30年10月19日(金曜日)に開催された国の文化審議会により、重要文化財(建造物)として指定するよう文部科学大臣に答申され、同年12月25日(火曜日)に重要文化財として指定されました。
この結果、糸魚川市に所在する重要文化財(建造物)は3件となりました。
白山神社本殿 昭和33年(能生)
山口家住宅 昭和52年(下出)
伊藤家住宅 平成30年(鬼舞)
伊藤家住宅の概要
名称・員数
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伊藤家住宅 6棟
(主屋、座敷の蔵、米蔵・味噌蔵、米蔵、裏蔵、門及び塀)、土地
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種別
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近代・住居
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建築年代
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主屋/明治25年(1892)頃、座敷の蔵/明治後期、
米蔵・味噌蔵/明治8年(1875)、米蔵/天保6年(1835)、
裏蔵/天保14年(1843)、門及び塀/明治中期
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指定基準
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(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
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概 要
伊藤家住宅は、糸魚川市鬼舞に所在し、江戸後期から明治にかけて栄えた県内屈指の廻船主の住宅で、明治 20年(1887)の類焼後に主屋などが再建された。
住宅は広い敷地中央に主屋が北面して建ち、その北西に座敷の蔵、米蔵・味噌蔵、米蔵の3棟の土蔵を鍵の手状に配し、更に塀を延ばして、東面に門を設けている。
主屋は木造2階建、切妻造、桟瓦葺で外壁を下見板張とする。平面形式や細部に上越地方の近世民家の特徴を備え、接客部や台所、座敷飾に良材を用い優れた意匠の室内造作、2階に多数設けられた居室などに、近代的発展の様相を示している。
敷地内には、大火を免れた江戸末期の土蔵などの附属建物も多数保存され、明治期までに整えられた屋敷構えを良好に伝えている。
地方的特色を備えた、大規模で上質な近代住宅として高い価値を有し、当地の歴史的特色でもある江戸後期から明治にかけての廻船による隆盛を今に伝えている。
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※切妻造・・・ 屋根の形状のひとつで、屋根の最頂部の棟から地上に向かって二つの傾斜面が本を
伏せたような山形の形状をした屋根。または当該屋根形式の建築物のこと。
※桟瓦葺・・・ 古代からある丸瓦と平瓦を組んで葺く本瓦葺きに対して、簡略に葺くことのできる
瓦葺きとして生まれたもので、江戸期から普及した。断面が薄く波形に作られ、同じ
形状の瓦の前後を噛み合わせ、左右を重ねることによって葺く。
※簓子・・・ 下見板の壁板を張るときに、下見板を押さえるために縦に打ち付ける細長い木材の
こと。裏側には下見板に合わせた刻みを入れ、板に密着するようにしてある。
※下見板張・・・建物の外壁に横長の板材を用いて、上方の板の下端を下方の板の上端に羽重ねにし
て張る方法。またはその外壁のこと。
※座敷飾・・・ 書院造の主室に作り付けられた床の間・違い棚・付書院などの総称。また、そこに
飾られた物のこと。