更新日:2021年11月8日
令和元年9月23日(月・祝)、本年度、文化庁補助事業により修繕工事を実施している国指定重要文化財「白山神社本殿」の特別見学会を開催しました。市内能生にある「白山神社」の本殿は、室町時代の建造物で、新潟県内の白山神社の中では最も古く、県内の白山神社の総本山と伝えられるため、昭和33年5月14日に国の重要文化財に指定された名称が「白山神社本殿」となっている建造物で、大規模な修繕事業は30年ぶりでした。
今回の修繕工事は、主に屋根の部分修繕や本殿入口の扉・飾りの補修などで、伝統技術と最新技術を組み合わせて実施しています。
文化財は、積み重ねてきた歴史に価値があるため、完全に新しい物と取り換えることはせず、特殊な伝統技術を用いて、使える部材を最大限生かし、取り換えが必要な部分のみ新しい部材を用いて修繕します。
従来、本殿は自由に立ち入れる場所ではなく、かつ屋根の部分修繕ともなると、工事終了後は下から見上げることしかできないため、今回の特別見学会は工事用の足場の上から屋根面の美しく並ぶ「杮(こけら)葺き」を見ることができる絶好の機会ともあって、市内・県内はもとより、遠くは東京都・神奈川県から参加された方もいました。宝物庫と拝殿の見学とも併せて、悠久の時を生きる文化財を満喫できた1日でした。
当日の様子はこちら→R1.9.24糸魚川タイムス掲載記事
1 日時 令和元年9月23日(月・祝) 10時~12時
2 会場 白山神社本殿、拝殿、宝物庫(集合:白山神社境内)
新潟県糸魚川市能生7239 TEL025-566-3465
3 解説 本殿:(公財)文化財建造物保存技術協会 中西 蔣様
谷上社寺工業株式会社 川田 徳宏 様ほか
宝物庫・拝殿:宗教法人白山神社総代
4 人数 30名(先着、小・中学生は引率者同伴、同伴者も人数に含む)
5 参加費 1人500円(宝物庫入館料、傷害保険代 等)
6 申込み 9月10日を以って締め切らせていただきました。
7 問合せ 糸魚川市教育委員会事務局文化振興課 TEL025-552-1511
8 主催 宗教法人白山神社(文化財所有者)、糸魚川市教育委員会
9 その他 駐車場は、宮ノ上駐車場の無料スペース(白山神社側半分)、または
弁天浜駐車場をご利用ください。
<杮(こけら)葺きとは…>
歴史ある建造物ならではの屋根を作る伝統技術です。
杮葺きは、金閣寺や銀閣寺、出雲大社、彦根城など国宝や重要文化財にも多く見られます。
丸太の材木を薄い板に切り出し、一定の大きさの杮(こけら)にカット(例:10cm×30cm)して、それらを少しづつずらしながら並べていきます。
杮は、切り出した位置によって、乾燥によるたわみや縮みの方向がそれぞれ違います。
それらを理解し、屋根の土台となる曲線に沿うように配置していきます。
また、杮を固定する釘は鉄釘と竹釘で、特に竹釘は今では国内で一社しか製造していない貴重な釘です。
さらに、杮と杮の間には、一定間隔で銅板を挟み、雨が当たることで銅が溶け出し、屋根を風雪の腐食から守るようにも配慮されています。
普通の建造物とは違う「職人の技」が生きている伝統技術の1つが杮葺きなのです。