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復興レポート

インタビュー | 特集
商店街のココロ粋9「糸魚川広域商店街」
2020/08/07

 本町通り商店街やロの字商店街等からなる「糸魚川広域商店街」。今回は、糸魚川広域商店街の会長で、本町通りに本店を構える冨江商店の小坂さんにお話を伺いました。


予期せぬできごと

糸魚川広域商店街 会長 冨江商店 代表社員 小坂 功(こさかいさお)さん

糸魚川広域商店街 会長 冨江商店 代表社員 小坂 功(こさかいさお)さん

 駅北大火出火時は、仕事で能生にいた小坂さん。糸魚川市消防署能生分署から出火元に向かう消防車のサイレン音が鳴り響き、糸魚川駅前で火災が発生したことを知りました。当初は、大きな火災になるとは想像もしていませんでしたが、横町の事務所に戻る際に、国道8号バイパスから見える黒煙が、小坂さんの不安を煽りました。次第に被害が広がり、出火元から300m程離れていた冨江商店の本店にも避難勧告が発令。横町の事務所にいた小坂さんは本店に向かい、仕事に関わる大事な帳簿類だけ持ち出しました。「普段とは違う商店街の景色の中、通りですれ違うのは見慣れた顔ばかりで。既に被災していた方には、なんと声を掛けていいか分かりませんでした」と、当時の心境を語ります。
 駅北大火発生前は、およそ117店舗が会員として属していた糸魚川広域商店街も、大火によって56事業所が被災し、昔ながらの景観は大きく変わってしまいました。冨江商店は被災を免れましたが、商店街の会長として、「今後どうなっていくのだろう」という不安は、しばらく頭から離れませんでした。


会長として

 駅北大火の発生は、全国ニュースでも取り上げられ、その映像は多くの人に衝撃を与えました。糸魚川商工会議所を通じて、離れた場所に暮らす市内出身者や、糸魚川市にゆかりの無い方からも「協力したい」という声が多く届いたことに驚く小坂さん。真冬だったこともあり、都内の団体から「被災者に温かいものを食べさせてあげてほしい」と寄付金をいただき、商店街を代表して直接受け取ることもありました。「大変ありがたかった。もし、他の地域で困っている人がいたら、糸魚川広域商店街としてもできることをさせてもらいたい」と感謝を述べます。
 また、会長として復興まちづくり計画検討委員会や駅北まちづくり会議などに参加し、市街地の再建・復興に向けて、話し合ってきました。「被災された方のことを想うと、なかなか意見が出しづらい時もありましたが、市が細かく会議を開き、全体の意見を拾ってくれていた」と、振り返ります。


新たな連携をとって

 駅北大火から3年半が経ち、本町通りでの雁木の再生や雁木のあるまちなみ景観整備は進んでいます。また、今年の4月、広域商店街内に駅北広場「キターレ」がオープンしたことで、本町通りに新たな人の流れが生まれ、商店街の方にとっても新しい時間の過ごし方ができているようです。しかし、そのにぎわいの流れを阻むように、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため自粛ムードが続いています。夏に開催しているおばけロードや復興マルシェ、歩行者天国など、商店街が関わっているイベントのほとんどが中止となってしまいました。
 駅北大火発生後、休憩所を用意し、お茶やお菓子を振舞うなど、商店街の方が自主的に行動している姿に誇らしさを感じていた小坂さん。商店街に暮らす“人”がいきいきと生業に精を出していけるよう、「新しい動きを取り入れながら、昔ながらの商店街の良さを活かしたイベントも視野にいれていきたい」と、今後の展望を明かしてくれました。


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