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復興レポート

インタビュー | 特集
ふるさとツナグ絆7「糸魚川おまんた祭り実行委員会」
2019/07/10

 夏の糸魚川を彩る「糸魚川おまんた祭り」。「おまんた」とは、糸魚川の方言で「あなた方」を意味します。被災した駅北で開催される祭りであり、大人も子どもも楽しみにしている、糸魚川最大の夏祭りでもあります。年に一度のこの日を裏で支える、実行委員長の田鹿さんと事務局長の松澤さんに熱い想いを伺いました。


糸魚川おまんた祭りのはじまり

実行委員長 田鹿 一男(たじかかずお)さん

実行委員長 田鹿 一男(たじかかずお)さん

  記念すべき第1回が開催されたのは1975年のこと。70年代の糸魚川は水害や火災、雪崩といった災害が多く、重苦しい雰囲気が漂っていました。見かねた市民から「糸魚川が一つになって、盛り上がっていけるような場が必要だ」という声が上がり、糸魚川青年会議所(以下JC)が中心となって、祭りの実行委員会を立ち上げました。「市民総参加」「心と心のふれあい」「ふるさとまつりづくり」の三信条のもと、発足してから40年以上が経った今では、市内の各地区、各諸団体、一般市民のボランティアから成る盤石な組織体制が祭りを支えています。
 現在、JCに加入し、おまんた祭りの事務局長を務める松澤さんは、「JCの役割はまちをよくするための『きっかけ』をつくること、そして市民に波及させること。おまんた祭りは、市民が自主的に動いてくれる活動の最たるもの」として、糸魚川におけるこの祭りの意義を語ります。


開催が危ぶまれた第42回

実行委員会事務局長 松澤 克矢(まつざわかつや)さん

実行委員会事務局長 松澤 克矢(まつざわかつや)さん

 糸魚川市駅北大火の翌年に予定していた第42回おまんた祭りについて、歴代最長の任期を務めた実行委員長の田鹿さんは「私は今までと変わらずに開催したい気持ちでしたが、まだまだ商店街は再建途中で、祭りをするかしないかは企画段階で何度も差戻しになった」と例年以上に難航していたことを明かします。開催の後押しとなったのは、意外にも被災地以外の地区の方々から出た「こんな時こそ、糸魚川を元気づけよう」という意見でした。市長とも相談の上で開催を決定。実行委員会で被災者のために何かできることはないかと考えた結果、住み慣れた土地を離れざるを得なくなった方に招待席を設けて、一堂に会する機会としました。「祭りを見ながらの他愛のない会話が、今後の生活の励みになれば…」と、当時の想いを口にする松澤さん。復興への想いが詰まったこの第42回は、新潟プロレスの方が「力になりたい」とクラウドファンディングで資金を募ってチャリティープロレスを開催してくれたり、市外から「頑張ってる姿を見れて元気をもらえた」という安堵の声を聞くことができたりと、全国から糸魚川を応援してくれているのを感じ、思い出に残る回となりました。


築き上げた歴史を守るために

 祭りの一番の見所は、歌謡界の星三波春夫氏が唄うおまんた囃子に合わせて、3,000人の市民がロの字商店街を踊り歩く大市民流し。1994年に開催された第20回の時には過去最多の4,500人が商店街を囲み、踊りきれないほどだったといいます。田鹿さんは「商店街は今よりも活気があったし、人も多かった。至るところで酒が振る舞われ、龍神丸(舟神輿)が巡る距離も神輿の数も今の数倍はあった」と全盛期を振り返ります。しかし、市内の人口が少なくなるにつれて、継続的に携わってくれるような若手ボランティアの人員確保や、祭りを運営するために必要な協賛金集めも年々難渋。実行委員会として、歴史ある祭りをこの先も続けていくためには、多くの子どもたちに参加してもらうこと、そして地域の方々との信頼関係をより強めていくことが大切だと二人は見解を示します。松澤さんは、田鹿さんの「顔と顔を見合わせて挨拶をする」「相手の健康状態まで見られるように、協賛金の集金はできる限り直接出向き、お願いする」という姿勢に共感し、お互いの顔を知るためにも準備に励んでいると話してくれました。

 


一年で一番糸魚川がにぎわう日

今年でコンビを組んで3年目。エピソードがつきません。

今年でコンビを組んで3年目。エピソードがつきません。

 第44回を迎える今年は「みんなでつくる 意志(こころ)ひとつに輪(めぐ)る夏の日」というスローガンが掲げられました。大火からの復興を通じて結ばれた絆や出会いを大切に、当日はひとつの輪となった踊り手がこころひとつにつながってほしいという願いが込められています。田鹿さんは「昼間のステージイベントは地元の方が日頃の活動の成果を披露できる場になっていってほしい」と今後に期待を寄せていました。かつては、会場となるまちなかの人たちが他の地区に赴いて前夜祭を開催し、当日は各地区からまちなかに集って踊るという風習があったそう。それにならい「今後青海や能生の夏祭りとも連携して、糸魚川全域が一つになる夏を実現させたい」と想いの丈を語る松澤さん。「小学生の頃、友達と自転車で祭りに出掛けた時のわくわくした気持ちを忘れることなく、事務局の業務に携わっています。一生懸命作っていきますので、是非ご参加ください!」。おまんた囃子が響き渡る夏が、今年もすぐそこまで近づいています。

 

Information

第44回 糸魚川おまんた祭り
期日/8月3日(土) 10:00~ 縁日広場
11:30~ 各種イベントステージ
19:00~ 大市民流し
場所/糸魚川駅日本海口 ロの字商店街

「清水心澄さんによる墨絵パフォーマンスのオープニングセレモニーから始まり、見どころたっぷりでお送りいたします! 来年度以降のステージ出演者も募集していますので興味のある方は、TEL.025-552-6570までお問い合わせください。」

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