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復興レポート

インタビュー | 特集
商店街のココロ粋「コナヤスポーツ」
2018/12/12

 昭和36年から糸魚川市でスポーツ用品を取り扱う「コナヤスポーツ」。大火で店舗が全焼し、仮店舗で営業をしていた同店が、2018年10月27日に元の場所で再建を果たしました。今回は、地域のスポーツ用品店として店を構え続ける中島社長にお話を伺います。


持ち出せなかった大切なもの

コナヤスポーツ代表取締役 中島 徹(なかじま とおる)さん

コナヤスポーツ代表取締役 中島 徹(なかじま とおる)さん

  出火当初は、誰もがあのような大きな火災になるとは予想もしていませんでした。コナヤスポーツの社長、中島さんもその一人です。飛び火によって次第に延焼地域が拡大すると、営業を続けながら店舗の屋根にホースを引っ張り放水を行いました。避難指示が出ても「自分の店までは燃えないだろう。また帰ってくればいい」という軽い気持ちで、持ち出したのは売掛台帳と近くにあった現金のみ。その後、風向きが変わり店舗周辺に火が入ったという情報を聞いて、最後は車4台を現場から出すのがやっとでした。店舗は全焼し、商品のほかに管理していた地元少年野球チームの道具や、スキー学校用に手入れが済んでいたレンタルスキーなども火に飲まれてしまいました。中島さんは「在庫は仕方ないけど、預かっていたものや今まで蓄えてきたデータ類がなくなったのは大きかった」と肩を落とします。お客さんが愛用するメーカーやラケットに張るガットの強さといった個々人ごとの道具のデータ、チームのロゴマークなど、これまでパソコンとノートに記録してきた膨大な資料も焼失。店の歴史と同等の重さをもつそれらの復旧は、いまだ叶わないままでした。


「なくてはならない場所」

 大火から二日ほど経った日。商品もデータも失い、店を続けていけるかどうか悩んでいた中島さんは、挨拶のために社員と二人で客先を回ります。その行く先々で「お店はどうなるの?」「どこかでまたやりますか?」と声を掛けられ、自分たちが不安なのと同じようにお客さんも不安でいることを感じたといいます。学校指定の体操服の取扱いや、スポーツをする子どもたちの成長に合わせて道具を調整、整備していた同店は、まちの人たちにとってかけがえのない場所でした。待ちわびるお客さんを前に「じゃあやらんならんねって。親戚に場所を貸してくれと頼みに行きました」と、一日も早い営業の再開を決意します。大火からまもない1月14日、品物が何もない状態で仮店舗をオープン。それは、商品がなくてもやる意志だけは表明したい、お客さんに迷惑をかけたくないという中島さんの想いの表れでした。


このまちのスポーツ用品店として

(左)接客をする中島さん (右)スポーツ用品が所狭しと並べられている店内

(左)接客をする中島さん (右)スポーツ用品が所狭しと並べられている店内

 スポーツ用品の取扱だけではなく、道具のケアもしてくれるサポーターとして、地域のスポーツ振興に貢献する同店。念願の再オープンを果たした新店舗は以前よりも商品棚を減らし、その分作業場のスペースを設けたので、店内から道具の調整や補修作業をする様子が覗けます。同じ場所で再建を進めた理由を聞くと「なんでだろうね。仮店舗を出すと決めた時には自然とこの場所に戻ってくる気持ちでいた。なにせ“仮店舗”だから」と中島さん。4台の車を停められるカーポート付きの駐車場は、昨年の大雪の経験もあり、お客さんが濡れないようにという配慮で用意したもの。「雨の日も雪の日もご来店お待ちしております」と中島さんは笑顔を見せていました。

 


Information
コナヤスポーツ外観

コナヤスポーツ
糸魚川市本町7-8
TEL.025-552-0160

■営業時間:9:00~19:30
※日曜日・祝日は9:00~19:00

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