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復興レポート

インタビュー | 特集
大火のカタリベ ~中村栄美子さん~
2018/06/13

こどもの頃に紙芝居で糸魚川の民話を聞いたことがある、という人も少なくないのではないでしょうか?今回は、糸魚川大火の紙芝居を手掛けた紙芝居作家に、長年の活動や作品への想いを聞きました。

紙芝居歴20年の「昔かたり春よこい」代表 中村栄美子さん

紙芝居歴20年の「昔かたり春よこい」代表 中村栄美子さん

紙芝居との出会い

「むかし、むかしのことでした。」そのフレーズから始まる紙芝居で、読み聞かせを行う中村栄美子さん。昭和56年に当時勤めていた日本電信電話公社(NTTの前身)で、独自のテレホンサービスとして「地元の民話」を流すことをひらめいたのが、活動の原点だといいます。これが好評となり、その後、学校の依頼で民話を披露する機会が増えていくなかで「45分の授業時間ではただ話すだけだと間が持たなくて、いい方法ないかなって悩んだ時に『紙芝居したらどう?』とアドバイスされたんです」。それが紙芝居を始めるきっかけでした。使う作品はどれも手作り。様々な人に取材して中村さんが原稿を書き、「紙芝居の絵は太く描いて、どの位置からでもキレイにはっきりと見えることが大事」と、その条件に合う方々にイラストを依頼、共同で制作しています。

パワフルな人物像

「糸魚川駅北大火」の紙芝居を読む中村さん

「糸魚川駅北大火」の紙芝居を読む中村さん

中村さんはこれまで様々な紙芝居コンテストに応募し、全国規模の大会で賞をとったことも。応募する意義について「人に認めてもらうことは重要だし、紙芝居という世界の中で自分がどんな位置にいるか知ることにも繋がる」と話します。今はさらに活動の場を広げ、学校や図書館のほか、デイサービスにも訪問しています。紙芝居を読むだけでなく、体操や歌を取り入れた1時間程度の公演をより充実したものにするため、巻地区まで通って、新潟県レクリエーション協会主催の養成講座を受講し、レクリエーションインストラクターの資格を取得したほど。精力的な活動の源を聞くと、「今日は来てくれてありがとうっていう、みんなの笑顔」と、清々しい言葉が返ってきました。


紡ぐ、大火の歴史

お気に入りの紙芝居と賞状

お気に入りの紙芝居と賞状

最新作の紙芝居は「糸魚川市駅北大火」が題材。焼けたという記憶だけでなく、過去の大火や地域の歴史を知ってほしいとの思いから、100年もの時代を遡って編集した大作です。明治44年、昭和3年、昭和7年…と糸魚川を幾度も襲った大火を振り返りながら、当時のまちの様子も学べる内容になっています。イラストを担当した小林和則さんは、絵を趣味としながら脳梗塞で右半身不随に。それでも絵筆を左手に持ち替え、リハビリの末に再起を果たした方です。大火から1年を迎えるのを前に出来上がったこの紙芝居は、絵本として6月11日から販売されています。「民話も大火のことも、次の世代に知ってほしいから」と、中村さんはこれからも想いを込めた紙芝居で歴史を語り続けます。


Information
かみしばい絵本「糸魚川駅北大火」「お道よう」

【発売日】2018年6月11日
【販売場所】フォッサマグナミュージアム、ヒスイ王国館、酒井書店、ブックステーションサカイ
【紙芝居完成日】2017年11月10日

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