約4年前に糸魚川市小滝の石灰岩から糸魚川市民が発見した化石が、専門家によって研究された結果、
日本で最古級であり、世界的に珍しいサメの歯の化石であることがわかりました。
このことについて、平成23年1月29日に高知大学での日本古生物学会で報告しました。
※写真は、1つの化石を、角度を変えて撮影したものです。
■発見・鑑定の経過
●2006年(平成18年)8月18日、糸魚川市在住のフォッサマグナミュージアム友の会会員が、フォッサマグナミュージアムの「化石の谷」に置かれた糸魚川市小滝川産の土倉沢石灰岩から化石を含む岩塊を見つけました。そして、自宅に戻って採集した石灰岩から化石を掘り出す作業中に、見慣れない奇妙な形をした歯と思われる化石を発見しました。
●同氏は翌8月19日、この化石をフォッサマグナミュージアムに持参し、化石が専門の学芸員(茨木洋介)に何の化石であるか聞きました。茨木はサメの歯の化石などに詳しい愛知県江南市在住の大倉正敏氏(化石ハンターとして全国的に有名)に鑑定を依頼。大倉氏は大英博物館へ行って文献などでこの化石を調べた後、茨木と相談し、サメの歯化石の権威である鶴見大学短期大学部歯科衛生科の後藤仁敏(まさとし)氏に化石を送って研究を依頼しました。そして、後藤教授の研究によりサメ(コクリオドゥスのなかま)の歯の化石であることがわかりました。
■国内最古級のサメの化石
●発見された化石は、同じ石灰岩から見つかっている化石から、古生代石炭紀前期(3億3千万年前)に生きていたサメと考えられ、国内最古級のサメの化石となります。
●コクリオドゥス科のサメの化石は、国内からは岐阜県などで発見例がありますが、今回発見されたものが国内最古級のものとなります。また、今回の歯の化石は非常に特異な形態をしており、貴重な発見です。
■学会での発表
●平成23年1月28(金)~30日(日)に高知大学で開かれた「日本古生物学会第160回例会」で、鶴見大学の後藤教授により、研究の成果が口頭発表されました。
■糸魚川ジオパークの価値をさらに高める発見
●今回化石が見つかった土倉沢石灰岩からは国内初産出の化石の発見が続いており、研究をさらに継続することによって国内で随一の地質多様性を持つ糸魚川ジオパークの価値がさらに高まることになります。