東アジアで3例目の化石、糸魚川から発見
(謎の甲殻類「サイクラス」のなかまの化石発見)
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平成23年8月に、フォッサマグナミュージアムで、謎の多い甲殻類「サイクラス」のなかまの化石が発見されました。
化石を含む石は、フォッサマグナミュージアムの「化石の谷」(化石採集を体験できる屋外施設)で、県外から見学に来ていた小学生が発見し、フォッサマグナミュージアムの学芸員が鑑定したところ、サイクラスのなかまの化石が見つかりました。
今回見つかったサイクラスのなかまの化石は、2009年(H21)に発見され2011年(H23)6月に報道されたものに続く発見で、東アジアで3例目となります。
直径約4mm
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●この化石の時代は石炭紀(およそ3億年前)であることがわかっていますが、詳しい時代や種類については、今後の研究によって明らかになることが期待されます。
●広島大学の児子修司博士に化石を見ていただいたところ、サイクラスのなかまであることが確認されました。この化石の詳しい種類については今後の研究が待たれるが、新種である可能性が高い。
●今回の化石は、2009年(H21)に糸魚川市(小滝の土倉沢石灰岩)から見つかったサイクラスとは違い、糸魚川市西部の黒姫山に分布する青海石灰岩から発見されたものである。青海石灰岩は、陸から離れた海底火山の上のサンゴ礁で形成された石灰岩である。2009年(H21)発見のサイクラスは今回のものとは違い、陸に近いサンゴ礁で形成された石灰岩から見つかったものである。
●今回見つかった化石は、甲殻類に属するサイクラスのなかまの背甲(はいこう、カニの甲羅に相当する部分)1点で、大きさは縦4mm、横3.5mmである。前回見つかったサイクラスとは、全体の形がやや縦長であることと、表面の模様に違いがある。これまでに知られているどのサイクラスのなかまとも違い、新種であると考えられる。
【サイクラスとは?】
■サイクラスのなかまの化石は、今回のものと同じ時代(石炭紀 約3億年前)のものはこれまでにアイルランド、イギリス、ベルギー、北アメリカ、日本の糸魚川から見つかっている。石炭紀以降のものは、オーストリア、ボスニア、ポーランド、ロシア、中央アジア、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、マダガスカルから見つかっている。サイクラスのなかまの生存期間は古生代石炭紀前期(3億3千万年前)から中生代白亜紀後期(7千万年前)であり、これまで15属40種ほどが見つかっている。
■サイクラスのなかまは、甲殻類の中の顎脚類(がっきゃくるい)というグループ(フジツボやウミホタルを含むグループ)であるといわれているが、現在生きている顎脚類の何に近いものなのかわかっていない、謎の多い生物である。
■サイクラスの生態(生息場所など)についても謎が多い。
1.海底でカニのように生活していた。
2.魚類に寄生して生きていた。 の2説がある。
関連情報 糸魚川で発見された世界最古級のサイクラスの化石について