更新日:2016年12月13日
場所
〒941-0056
新潟県糸魚川市大字 一ノ宮1313(美山公園内)
電話:025-553-1880

入館料

・一般(大人) 500円
・高校生以下  無料

開館時間

9時00分~16時30分
※17時00分に閉館するまでご見学いただけます。

休館日

12月から2月まで毎週月曜日

更新日:2017年6月2日
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新潟県内最古の化石を発見

更新日:2016年12月27日

 糸魚川市フォッサマグナミュージアム、国立大学法人 新潟大学、国立研究開発法人 産業技術総合研究所からなる研究グループは、新潟県糸魚川市小滝で採集された岩石から、古生代シルル紀(約4億2000万年前)という時代を示す放散虫化石を発見しました。

 これまでに新潟県内で発見されている最古の化石は、古生代デボン紀(約4億年前)のものであり、今回の発見はそれをさらに2000万年ほど遡る新潟県最古の化石記録となります。

  本研究成果は、平成29年1月27~29日に早稲田大学で開催される日本古生物学会第166回例会において発表されます。また、平成29年3月31日出版予定の新潟大学理学部紀要“Science Reports of Niigata University (Geology)”に詳細な内容が掲載されます。

今回発見された放散虫化石の写真
今回発見された放散虫化石の顕微鏡(SEM)写真

礫岩から発見された放散虫化石
 
 放散虫は海にいるプランクトンで、大きさ約0.1~0.3mm程度の単細胞の原生生物の一種です。5億年以上前の古生代カンブリア紀に出現し、現在でも海で生きています。仮足(軸足)とよばれる軟体部を出して、エサとなる微生物をとらえて食べます。酸に溶けにくい珪酸質の殻を持つため、地層中に残りやすく、さまざまな形のものがあり、進化が速いため時代を決める示準化石として利用されています。

 今回放散虫が発見された試料は、小滝川ヒスイ峡ジオサイトの下流域である小滝の瀬野田から、河原の大きな転石として採集された礫岩(写真1)です。この礫岩は現在フォッサマグナミュージアムに展示されています。この礫岩に含まれる珪質岩(写真2・3)から放散虫化石が発見されました。

 放散虫の化石を含む岩石には、チャートや珪長質凝灰岩などがありますが、今回放散虫の発見された石は小さく、正確な岩石名がわからないため、珪質岩と呼んでいます。珪質岩は成分として二酸化珪素が多く含まれる岩石です。

 放散虫の化石を岩石から取り出す場合は、岩石を割って小さくし、フッ化水素酸という薬品に浸けて溶かし、溶け残ったものを乾燥させて顕微鏡で観察して探します。石の表面だけを溶かして探すこともあります。専門家であれば、岩石に放散虫が入っているか肉眼(ルーペ)で確認できることもあります。

放散虫が発見された礫岩
放散虫化石が発見された礫岩(フォッサマグナミュージアム所蔵)

シルル紀とは

 シルル紀は、約4億4380万年前から約4億1920万年前の時代であり、古生代に属しています。陸上に最古の動物や植物が見られるようになる時代でもあります。国内で最初に発見されたシルル紀の地層は、岩手県大船渡市日頃市町から、故 小貫義男博士(もと東北大学教授、宮城教育大学)が1937(昭和12)年に東北大学の卒業論文の調査中に発見しました。最初に発見したのは床板サンゴのなかまで、時代は中期シルル紀(4億3000万年前)のものです。

 日本国内のシルル紀の地層は、岩手県大船渡市日頃市町、岐阜県高山市奥飛騨温泉郷、福井県大野市箱ヶ瀬、高知県高岡郡越智町、大分県豊後大野市三重町、宮崎県西臼杵郡五ヶ瀬町、熊本県八代市坂本町深水など限られた範囲にのみ分布しています。

 今回、発見された放散虫化石はアメリカのテキサス州や岐阜県高山市の福地地域の古生代シルル紀の地層から報告されている化石群集と同じ種を含んでいることから、同時代のものと判断されました。これまでに新潟県内から発見・報告されている最古の化石記録は古生代デボン紀のものであり、本研究の結果は、県内最古となる化石の発見となります。全国的に見てもシルル紀の化石の産出地点は限られており、貴重な報告といえます。

 なお、この「シルル紀の化石を含む珪質岩礫」を含む礫岩が堆積した時代は、ジュラ紀(約2億年前)の可能性があります。また、現在糸魚川には古生代シルル紀の放散虫を含む地層の存在は知られていません。礫岩からシルル紀の放散虫を含む礫が発見されたことは、礫岩が堆積した当時はその地層が陸上に露出していたことを示します。このことは、糸魚川における数億年前の地質や地形を考える上で重要な情報となります。

シルル紀
地質年代表と今回発見された放散虫化石の年代

今回の発見の意義

 新潟県で最古(4億2000万年前)の化石が糸魚川で発見されたことです。これまで県内から発見されていた県内最古の化石は、小滝と大所の4億年前のサンゴ化石でした。糸魚川ジオパークの大きな特徴は、さまざまな時代のさまざまな石があることです。今回の発見によりさらに大地多様性がグレードアップしたことになりました。シルル紀の化石は国内では非常に例が少なく、今回の発見はもっとも日本海に近い場所でのシルル紀の化石の発見となります。

 糸魚川ジオパークでは他地域、他機関との連携を重視ていますが、今回は新潟大学・産業技術総合研究所との共同研究でなされた大きな成果となります。また、糸魚川ジオパークから今後も新たな重要な化石が発見される可能性があることを期待させてくれるものです。次は、新潟県ではじめて恐竜の化石が発見されることになるかもしれません。

報道資料

プレスリリース(PDF) (2016年12月20日 17時3分 更新 874KB)